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Dietguide:Tetsuya Kawaguchi

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更新日 2013-03-20 | 作成日 2007-11-18

真実の探求者を惑わす

~情報の娯楽性~

百家争鳴ダイエット学13(2005年4月28日沖縄タイムス寄稿文より改変)

ダイエット法について書かれた本を立て続けに十冊程度読んでもらえれば、きっとあなたもダイエットの世界の面白さに気がつくはずだ。

本に書かれている内容が正反対のこともあるし、中には一冊の本の中で矛盾した見解が書かれていることもある。

「血糖値を上げやすい食品は満腹感を早くもたらすので良い」と書いてある本は「血糖値を上げやすい食品は脂肪合成を促進するインシュリンというホルモンの分泌を刺激するので悪い」とも書いてあった。

結論はともかく、どちらも一理あるところがもどかしい。

昨年の今ごろ「どうして毎年違ったダイエット法がブームになるのか?」と、県外のある新聞社に質問され「実際にはそれらにうわさ通りの効果がないから」と答えた記憶がある。

にがりにしろ、アルファリポ酸にしろ、本当にうわさ通りにやせるのなら、世界の肥満問題は、いとも簡単に解決する。

マジシャン200.jpg「何が一体本当なのか?」との問いには「真実かどうかよりも、ダイエット情報はそのエンターテインメント性を評価すべきだ」とのアドバイスも行った。

「スターウォーズや、となりのトトロが作り話であることを問題視するのはバカげた話でしょ」というのは真実の探求者を惑わすための私の常套句(じょうとうく)だ。

科学的な根拠があるかのように演出すること、簡単に誰でも成功するかのように説明することは、私を含めたダイエット情報の発信者に課せられた一つのルーチンワークである。今回のコラムのように本当のことを書くことを求められればできる限りそれに答えるが、やはりダイエット情報の発信者として人気を得るためには、こうしたルーチンは完全には無視できない。

最後に、なぜダイエットに明確な答えがないかを説明すると、それはそもそも太る原因が一つではないし、人それぞれだからである。「食の嗜好」「活動の傾向」「ストレスの量や質とその対処法」「遺伝形質」「運動への興味」「脂肪細胞の数」「外部情報からの影響の受けやすさ」「消化器官の健康状態」「食事環境」「セルフイメーイジ」「栄養に関する知識の有無」「認知のゆがみ」などさまざまな要因が複雑に絡み合った先に、肥満の問題は横たわっている。

「簡単、楽々、誰でも、確実にやせる方法はない」ということは、残念ながら現時点での数少ない真実の一つである。

(ダイエットガイド)

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百家争鳴ダイエット学13~真実の探求者を惑わす~
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